経理の転職の成功とは
ここでは、「経理の転職の成功とは」について考えていきます。
何をもって「成功」とするのか
「転職の成功」と言ったとき、どのようなことを思い浮かべるでしょうか。
①希望していた転職先企業から内定をもらい入社できたこと、②年収アップやキャリアアップなど転職の目的を達成できたことなどが考えられるでしょう。
また、場合によっては、③希望の転職先企業ではなかったものの、後から振り返ってみれば自身のキャリア形成においてプラスだったと思える転職なども転職の成功と言えるでしょう。
「成功」は人によって異なる
「転職の成功」の捉え方は人によって様々です。
これは、以下の転職活動経験者への「転職が成功したと感じる具体的理由」に関するアンケート調査結果からも分かります。
経理の転職成功事例
ここでは、経理の転職について、年齢・キャリア・ステージなどが異なる様々な成功事例を紹介します。
〈h3〉20代キャリアビジョン重視の転職成功事例〈/h3〉
転職の概要 |
出版社で経理職だった20代のAさんは、インターネット広告会社の経理職にキャリアビジョンを重視して転職を果たした。 |
転職を決意したきっかけ |
大学卒業後に就職した上場会社で経理職をしていたが、将来のキャリアビジョンを考えたとき、今の職場は専門分野に特化した分業制のため、より広い視野でキャリアアップ・スキルアップが図れる会社に転職したいと思うようになった。 |
転職までのプロセス |
すぐに経理専門の転職エージェントに登録し、転職の目的を伝えて担当エージェントに相談したところ、より広い業務範囲を任せてもらえる「スタートアップ企業」や「新興ベンチャー企業」への転職を勧められた。 |
転職成功のポイント |
l 「キャリアビジョン重視」という明確な転職目的を転職面接での志望動機や転職理由の回答に盛り込むことで、人柄や転職意欲だけでなく、転職先企業で将来キーパーソンとして活躍してくれそうな人材、共に働いてみたい必要な人材とのアピールができること
で、自身の転職目的を叶えられ、面接でのアピールもうまくいき内定を勝ち取れたこと |
30代じっくり時間をかけた転職活動による成功事例
転職の概要 |
専門商社で経理職だった30代のBさんは、通信会社の経理職に時間的に余裕のある転職活動により転職を果たした。 |
転職を決意したきっかけ |
現在の仕事内容や待遇に不満はないものの、ポスト不足によるマネージャー職への昇進が見込めないことを危惧していた。管理者候補向けの外部研修を受講したことがきっかけで、「責任感のある仕事を任せてもらえ、マネージャー職へのキャリアアップも期待できる会社」への転職を考えはじめた。 |
転職までのプロセス |
経理専門の転職エージェントを知り、まず個別の無料相談を受けた。相談した転職エージェントから、「希望する転職先企業を探すには時間的余裕を持ったほうがいいでしょう」というアドバイスを受け、すぐに転職エージェントに登録し、転職活動をスタートさせた。
担当エージェントからアドバイスを受け、さまざまな疑問も解消した。応募先企業の選定もスキル・キャリア・保有資格と照らし合わせながら担当エージェントと二人三脚で慎重に絞り込んだ。 通常、1~3か月程度の転職活動期間を約6か月かけて、応募先企業に対して、「マネージャー職へのキャリアビジョン」などについて転職エージェントを介して確認してもらいながら、納得した形で希望の転職先企業への転職を果たした。 |
転職成功のポイント |
l 自身の転職目的を叶えることができ、自身の相性や適性に合う転職先企業を探すには時間がかかるため、目の前の転職しやすそうな企業に飛びついて転職するのではなく、納得のいく転職先企業を
l 転職エージェントに転職先企業の採用担当者との間に入ってもらうことで、「応募先企業に関する入社後のキャリア構築の仕方」など、自身ではなかなかできない質問への回答を引き出し、1つ1つ解消してもらったこと |
40代ライフステージの変化に伴い挑戦した転職成功事例
転職の概要 |
食材卸売会社で経理職だった40代のCさんは、ライフステージが変化した(子どもの独立)ことに伴い、ウェブメディア事業会社の経理職に新たな挑戦をする形で転職をした。 |
転職を決意したきっかけ |
大学卒業後、地元に戻って現在の会社に就職し、経理の仕事を25年ほど続けてきた。2人の子どもが独立したことをきっかけに、家族と話し合い、昔から漠然と持ち続けていた「経営企画の仕事がしてみたい」との思いから転職を決意した。 |
転職までのプロセス |
すぐに経理専門の転職エージェントに登録をし、転職目的を伝え相談をしたところ、担当エージェントから、「Cさんの経理としてのスキルやキャリアは即戦力として申し分ないが、経営企画の仕事をするならば、財務資料を分析し、経営判断に活かせるスキルが求められること、子どもの独立などライフステージの変化により新たな挑戦をすることに対して家族の理解をきちんと得ること」などの的確なアドバイスを受けた。
現在の会社でも若い3代目社長を盛り立て、タイムリーな財務状況の報告などをしていた経験もあり、エージェントから紹介された「IPOを目指している会社」への転職が決定した。 |
転職成功のポイント |
l ライフステージの変化に伴い、自身のキャリアビジョンに照らして新しい挑戦をすることに対して転職前にしっかりと協議し、家族の理解を得られたこと
l 自身のスキルやキャリアの棚卸しを経理専門の転職エージェントとともに行い、転職目的に合った転職先企業を選定できたこと |
50代管理職の転職成功事例
転職の概要 |
不動産会社で経理部長を務めていた50代のDさんは、給料ダウンや管理職にはこだわらず、経理職の仕事を続けることだけを優先した結果、転職に成功した。 |
転職を決意したきっかけ |
50代半ばを迎え、役職定年制度の規定により、管理職を退き、給与も大幅ダウンし、経理職以外の部門への配属が決まっていた。
給与ダウンや管理職にはこだわらず、経理職の仕事を続けたいと思い、転職を決意した。 |
転職までのプロセス |
たまたま出席した転職セミナーで、経理専門の転職エージェントを知り、事情を話したところ、「登録してもらえれば希望の転職のお力添えができるかもしれない、費用もかからない」とのことで、すぐに登録を決めた。
管理職や給与額にはこだわらず、経理の仕事が続けられることが最優先条件とのことから、管理職だけでなく経理実務もこなしていたスキルや経験は転職に何の障害もなく、転職先企業もすぐに見つかり転職ができた。 |
転職成功のポイント |
l 経理の仕事を続けたいという転職目的を明確にし、転職目的が達成できるならば、管理職や給与額といったポジションや待遇面などの就業条件にこだわらないという転職条件の優先順位を明確にしたこと
l 実務から遠ざかりスキルが錆びついていて転職が難しいという独特の管理職転職のケースに該当しなかったこと |
20代経理未経験者のキャリアチェンジの成功事例
転職の概要 |
化学メーカーで営業職だった20代のEさんは、同じ化学メーカーの経理職にキャリアチェンジ転職を果たした。 |
転職を決意したきっかけ |
「将来経営に携わる業務がしたい」という夢があり、会計の知識を得て実務経験を積むために、30歳を前にして経理職へのキャリアチェンジを決意した。 |
転職までのプロセス |
まず経理専門の転職エージェントに登録して、経理の転職に精通した専門のエージェントから、以下のようなさまざまなアドバイスを受けることができた。
「できれば同じ業界内でキャリアチェンジしたほうがよいこと」「経理未経験なので営業職で培ったコミュニケーション能力を活かせる会社が向いていること」「経理未経験でも積極的に採用してくれる条件の会社を探すこと」などの貴重なアドバイスである。 「転職エージェントと二人三脚で転職活動を進めたこと」「キャリアチェンジを決意した後、自身の努力で日商簿記2級の資格を取得していたこと」「経理未経験でも会社に新しい風を吹き込むために有望な人材を採用する企業に巡り会えたこと」などの理由から無事に希望どおりの転職を果たすことができた。 |
転職成功のポイント |
l 同じ業界内での転職のため、仕事内容や業界内での知識があり、キャリアチェンジに適していたこと
l 経理未経験者が経理職にキャリアチェンジするためには、経理実務経験という転職の武器がない部分を経理に役立つ資格という別の武器でカバーする必要があるが、キャリアチェンジ転職を決意した後、経理に役立つ資格を取得するなど自身で事前に準備していたことで、面接官から「努力して自身のキャリアを切り拓いていける人材」と評価を受けたこと l 経理未経験者の経理職へのキャリアチェンジ転職は30代以降はハードルが上がると一般的に言われている中で、20代でキャリアチェンジを決意したことで、採用者側から20代であれば「転職後の教育研修などにより経理職として育成できる人材」と評価されたこと l 経理専門の転職エージェントから、経理未経験者特有の転職活動について、「経理職を志望したきっかけについて具体的なエピソードを交えて回答できるように準備しておくこと」「経理職以外の職種でのスキルや経験を経理職にどのように活かすかを業務レベルに落とし込んで回答できるように準備しておくこと」などの的確なアドバイスを受けられたこと |
経理の転職を成功させるためのポイント
ここでは、経理の転職を成功させるためのポイントについて、「転職成功のポイントに関するアンケート」「希望の転職先企業から内定を得て入社するためのコツ」「転職後ミスマッチを起こさないために必要なこと」などをご紹介します。
転職成功のポイントに関するアンケート
転職成功のポイントがわかる転職のアンケート調査があります。転職経験者1,052名に対して、転職活動で「やっておいてよかったこと」「やっておけばよかったこと」を聞いたところ、以下のような回答結果(上位5項目)になりました。
やっておいてよかったこと | やっておけばよかったこと | |
1位 | 応募書類の作成 | 資格取得 |
2位 | スキル・キャリアの棚卸し | 貯金 |
3位 | 在職中の転職活動 | 企業情報の収集 |
4位 | 人材紹介会社への登録 | 在職中の転職活動 |
5位 | 企業情報の収集/資格取得/面接準備 | スキル・キャリアの棚卸し |
※参照:
この調査結果から、転職に成功するポイントは「応募書類の作成」「資格取得」「スキル・キャリアの棚卸し」「企業情報の収集」など転職の準備が重要であることがわかります。
希望の転職先企業から内定を得て入社するためのコツ
希望の転職先企業から内定を得て入社するには、転職先企業の採用試験や面接で「自社に必要な採用すべき人材」と印象づけることが必要です。そのためには、以下のコツを押さえておきましょう
- 経理で重視される実務経験・資格を転職の武器として備える
- 入念な準備をして面接でアピール
以下、詳細を解説します。
経理で重視される実務経験・資格を転職の武器として備える
経理の転職で重視されるのは、経理の実務経験です。経理の実務経験3年以上で、仕訳が一通り理解できているレベルと判断されるので、できれば転職の武器として3年以上の経理実務経験を積んでおきましょう。
仮に経理実務経験が3年に満たない場合は、日商簿記2級やビジネス検定2級などの資格を取得しておくと経理の転職での武器として有効です。
入念な準備をして面接でアピール
転職の武器は、経理の実務経験や資格だけではありません。必要な準備をして、転職面接で「必要な採用すべき人材」であることをアピールできれば、大きなアドバンテージとなります。
そのためには、スキルやキャリアの棚卸しをし、自身を客観的に分析した上で、自身のストロングポイントを明確にしましょう。また、応募先企業や業界を研究し、転職先企業での貢献の仕方を洗い出しておきましょう。
また、事前に面接シミュレーションを何度も行い、面接でのアピールの仕方を掴んでおくことも必要です。
他方、未経験者は「経理職を志望したきっかけ」「前職の経験を経理職にどのように活かして貢献するか」など、未経験者特有の面接でのアピールポイントを準備しましょう。
転職後ミスマッチを起こさないために必要なこと
転職後ミスマッチを起こさないために必要なことは以下のとおりです。
- 応募先企業や業界の研究を徹底して行う
- 自身の適性・相性にマッチした企業を選ぶ
以下、順に解説します。
応募先企業研究・業界研究の目的と方法
業界研究の目的は、自己分析により「転職して何を目指すのか」を明らかにし、「それが実現できるのはどの業界なのか」を探ることです。日本には様々な業界がありますから、視野を広げることで自身が本当に活躍できるフィールド(業界)を探すことができ、転職を成功させることができるからです。
なお、転職領域の具体的な口コミサイトは、応募先企業研究・業界研究ともに、「転職会議」「OpenWork」「エンライトハウス」「キャリコネ」などがあります。
自身の適性や相性と合致する応募先企業の選択方法
入社後のミスマッチを防ぐには、自身の適性や相性と合致する企業を選択する必要があります。
そのためには、まず自身の適性や相性を客観的に分析する必要があります。業界、企業規模、仕事の進め方、業務内容、慣習・社風、人間関係・給与・福利厚生・休暇などの優先順位など、自身が求めているものを選択しましょう。
客観的な分析は一人では難しいはずですから、転職エージェントによるカウンセリングを利用しましょう。
その上で、業界研究・企業研究した結果と照らし合わせて、応募先企業は自身にとって「アリかナシか」「許容できるかできないか」を判断します。
転職を成功させてキャリアを切り拓こう!転職エージェントも活用しよう
経理の転職の成功事例やアンケート調査の結果を見てみると、希望の転職先企業から内定を得て入社するためには、入念な準備をする必要があり、転職後のミスマッチを減らすには、転職目的の明確化が大切であることがわかりました。
経理の転職の成功を、希望する転職先企業への入社と入社後のミスマッチ防止だと捉えると、経理専門の転職エージェントなど経理の転職に精通した専門家の活用を無視することはできません。
経理専門の転職エージェントに登録すれば、適性や相性にマッチする転職先企業の紹介、転職に関する的確なアドバイス、職務経歴書の作成や面接対策の支援などが受けられます。
経理専門の転職エージェントも活用しつつ、経理の転職を成功させて自身のキャリアを切り拓きましょう。
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