〈h2〉転職理由ランキング〈/h2〉
ここでは、経理の転職理由について、一般的なものと経理特有のものとを各々ランキング形式でご紹介します。
他の人がどのような転職理由で転職したのかを把握することで、自身の転職理由の作成の一助にしてください。また、一般的な転職理由と経理特有の転職理由の比較も経理の転職を検討している人にとってはご参考になると思います。
〈h3〉一般的な転職理由ランキング〈/h3〉
dodaの「2020年度転職理由ランキング」(対象:転職者10万人)によれば、一般的な(総合)転職理由は以下のとおりです。
一般的な(総合)転職理由では、「仕事内容を変えたい」「会社や業界への将来不安」などが同じような割合でランキング上位となっている点が特徴です。
〈h3〉経理特有の転職理由ランキング〈/h3〉
dodaの「2020年度転職理由ランキング」(対象:転職者10万人)によれば、経理を含めた企画・管理系の転職理由は以下のとおりです。
経理職を含めた企画・管理系の転職理由として、一般的な転職理由と比して圧倒的に割合が高い傾向が見られるのは、「業界の先行きが不安」「会社の将来性が不安」などです。
「業界の先行き不安」の転職理由が多くなっている原因として、新型コロナウイルス感染症の影響など環境要因に左右されやすい職種であることが考えられます。
また、株式会社MS-Japanが調査した「20代経理の本音の退職理由」(対象:137名)によれば、経理特有の退職理由ランキングは以下のとおりです。
20代の経理職の退職理由を見てみると、「人間関係」「スキルアップ」などの割合が高くなっています。
〈h2〉経理の転職理由を面接で聞かれたときの対応〈/h2〉
経理の面接で転職理由を聞かれることがあります。これは、採用担当者が「求める人材像と合致するか」「前職と同じ理由で退職しないか」を読み取ろうとするためです。
転職理由を聞くことによって、応募者の人柄・意欲・モチベーションなどを確認して、自社に貢献できる人材か、入社後定着する人材かなどを推し量ろうとしています。
ここでは、経理の面接で、転職理由を聞かれたとき、どのように対応すれば転職の成功につながるのかを解説します。
〈h3〉経理の転職理由は建前で話すべき?〈/h3〉
経理の面接で転職理由を聞かれたときは、本音と建前を使い分けるべきなのでしょうか。結論から言うと、建前も使うケースも出てきます。
本音の転職理由だからといって、前職の人間関係や給与等の待遇面への不満などネガティブな理由だけを回答してしまうと、面接官に事情を詳しく聞かれることもなくマイナスなイメージだけ持たれてしまう可能性があるからです。
だからと言って、本音の転職理由を隠して嘘をついてしまうと、面接全体を通して回答に一貫性がなくなってしまい面接官に悪い印象を与えてしまうリスクがあります。
本音の転職理由がネガティブな場合には、うまく言い換えたり、複数ある転職理由のうちの他のポジティブな内容を加えたりするなどの工夫が必要でしょう。
ちなみに、以下に転職者が本音と建前とを使い分けていることがわかるアンケート調査の結果をご紹介します。
このアンケート結果を見てみると、本音の退職理由ランキングの上位には「人間関係」「労働条件」などネガティブな理由が多いのに対して、建前の退職理由ランキングの上位では「キャリアアップ」などポジティブな理由が多いことがわかります。
【リクナビNEXT転職経験者100人の「退職理由本音と建前ランキング」】
退職理由 | 本音 | 建前 |
上司・経営者の仕事の仕方が気に入らなかった | 1位(23%) | 9位(2%) |
労働時間・環境が不満だった | 2位(14%) | 3位(11%) |
同僚・先輩・後輩とうまくいかなかった | 3位(13%) | 9位(2%) |
給与が低かった | 4位(12%) | 5位(7%) |
仕事内容が面白くなかった | 5位(9%) | 2位(17%) |
社長がワンマンだった | 6位(7%) | – |
社風が合わなかった | 7位(6%) | – |
会社の経営方針・経営状況が変化した | 7位(6%) | 3位(11%) |
キャリアアップしたかった | 7位(6%) | 1位(38%) |
昇進・評価が不満だった | 10位(4%) | – |
雇用形態に満足できなかった | – | 6位(4%) |
勤務地が遠かった | – | 6位(4%) |
仕事に対する責任が物足りなかった | – | 6位(4%) |
〈h3〉経理の転職理由はポジティブ7割ネガティブ3割で伝えよう〈/h3〉
経理の面接で転職理由を伝える際は、ポジティブな理由とネガティブな理由をセットで伝えるようにしましょう。ポジティブな理由7割、ネガティブな理由3割程度の配分で伝えることをおすすめします。
ポジティブな転職理由を伝えることにより応募先企業でやってみたい仕事内容をアピールしたり、ネガティブな転職理由で避けたいポイントを伝えたりする必要があるからです。
転職活動を行う際には、「入社したい会社に合格すること」「入社したくない会社には合格しなくてよいこと」を根底において活動するべきでしょう。
〈h3〉転職理由をポジティブに伝える方法〈/h3〉
転職理由をポジティブに伝える方法として、①内容が同じでも伝え方を変えてみるという手法、②本音の理由には触れず別のポジティブな理由に変えてみる手法などがあります。以下、①のケースと②のケースの「ネガティブ→ポジティブ」の事例をご紹介します。
事例 | ネガティブ(本音) | ポジティブ(変化) |
① | 「仕事内容がマンネリで物足りず、将来のキャリアが不安なため」 | 「仕事内容をステップアップして、スキルアップを図りたいため」 |
「社長や上司に何も言えない環境のため」 | 「社員個々人が自由に意見を述べ、挑戦できる貴社の社風に共感したため」 | |
② | 「人間関係が原因」 | 「個人で結果を求められる環境からチームで仕事をしてみたくなったため」 |
〈h3〉未経験者の場合〈/h3〉
未経験者が転職理由を伝えるケースでは、「なぜ経理職を目指したのか」ということに焦点を当てて、経理を志望した理由やきっかけを具体的なエピソードを交えて伝えることをおすすめします。
また、前職での他の職種の経験が、経理に役立つことをアピールすることも大切です。たとえ未経験者でも、採用者側に「この人は自社の経理部門に必要な人材だ」と印象づけることが目的だからです。
〈h2〉経理の転職理由の回答例〈/h2〉
ここでは、経理の転職理由を面接で聞かれた際の回答例について、良い例と悪い例をご紹介します。
〈h3〉良い回答例①給与など待遇面が原因〈/h3〉
経理の転職理由として良い回答例(給与など待遇面が原因のケース)とその理由は以下のとおりです。
【良い回答例①】
前職では、仕事内容も満足しており、上司や同僚との人間関係もうまくいっていたと思います。しかし、今後の子どもの進学などライフプランを考慮して、年収アップを目的とした転職を決意いたしました。 前職の会社では大変お世話になり申し訳ない気持ちですが、これが自身のキャリアビジョンを考慮した私の転職理由です。貴社では、前職以上に成果を出し貢献させていただければと思っております。 |
【良い回答例①の理由】
正直に話そうとする姿勢がよく伝わる転職理由です。本来は、給与など待遇面への不満を転職理由にすることは、ネガティブに捉えられてしまいがちですが、このようなポジティブな伝え方であれば、逆に誠意の感じられる転職理由となっています。 また、自身のライフプランやキャリアビジョンを考慮した転職理由となっている点も、採用担当者に「定着してくれる人材」というイメージを植え付けられており好印象です。 さらに、お世話になった会社へ最大限の配慮をしている点も、「うちの会社でも同様に感謝の気持ちを持って働いてくれるのではないか」という期待感や人柄の良さも採用担当者に好印象です。 |
〈h3〉良い回答例②未経験の場合〈/h3〉
経理未経験者の転職理由として良い回答例とその理由は以下のとおりです。
【良い回答例②】
前職で営業事務として、受発注業務や請求業務をする中で、経理部とのやり取りも多く、企業における経理業務の重要性ややりがいを感じ、経理のスペシャリストになりたいと思うようになりました。 昨年日商簿記2級の資格を取得したことが、未経験ながら経理部門への転職を決意したきっかけです。 営業事務で培ったコミュニケーション能力を活かして、他部署とのスムーズな調整に貢献できればと思っております。 |
【良い回答例②の理由】
経理未経験者の転職理由で大切な「経理職を志望した理由やきっかけ」を具体的なエピソードを交えて伝えることができているため、経理への転職に関する熱意を伝えることに成功しています。 また、前職での他の職種の経験が、経理に役立つことのアピールもされており、経理未経験者でも、「この人なら自社の経理マンとして貢献してもらえそうだ」という期待感を抱かせる転職理由です。 |
〈h3〉悪い回答例①〈/h3〉
経理の転職理由として悪い回答例の1つめとその理由は以下のとおりです。
【悪い回答例①】
前職は、最終的には、上司のパワハラが原因で退職しました。人手不足もあり、経理担当者各人のノルマがきつい上に、残業も多く、それに見合う評価や給与も得られませんでした。それでもなんとか日々の業務をこなしていましたが、毎日のように直属の上司から、同僚や部下の前で怒鳴られていました。そのうち、会社に出勤すると体が震え、仕事が思うようにできなくなり、産業医に診察してもらったところPTSDの診断を受けました。 これ以上、この会社で働くのは無理だと思い、転職を決意しました。 |
【悪い回答例①の理由】
最終的には、「人間関係」が転職理由ということですが、採用担当者からすると、時系列の説明はダラダラと愚痴を言っているように聞こえてしまい、マイナスな印象を持たれてしまいます。本音の転職理由だと思いますが、同じ内容でも伝え方を工夫することが大切です。 また、人間関係が転職理由の場合には、「この人を採用しても同様のことが起きて辞めてしまうのではないか」という心配を採用担当者に与えてしまうリスクがあります。人間関係の感情論は転職理由にできる限り盛り込まず、別の理由に変えましょう。 さらに、病気の件は、採用後の業務に影響しないか採用担当者は不安に思ってしまうデリケートな問題です。入社後の業務に支障がなく、病気から得たことがあったなど前向きな話でない限りは控えたほうがよいでしょう。 |
〈h3〉悪い回答例②〈/h3〉
経理の転職理由として悪い回答例の2つめとその理由は以下のとおりです。
【悪い回答例②】
前職は、外食産業の会社で営業の仕事をしておりましたが、コロナ禍で業績が悪化し業界や会社の先行きが不安になり転職を決意しました。一生懸命頑張りますのでよろしくお願い申し上げます。 |
【悪い回答例②の理由】
転職理由が短すぎて転職への意欲が感じられません。また、「業界への先行き不安」を転職理由にしてしまうと、「日本全体の景気が悪いことを理解しているか」「業界の将来が見えていると思っているのか」などと面接官に判断されマイナスの印象を持たれてしまうリスクがあります。 さらに、経理未経験者の転職理由にもかかわらず「なぜ経理職を志望しているのか」ということについて言及がないのは経理への転職の決意・やる気が感じられずNGです。 転職先の会社で「一生懸命頑張る」ことは当然のことであり、「前職の経験を活かしてどのように貢献するのか」という説明がない点も評価されません。 |
〈h2〉転職理由を考えるときのポイントや注意点〈/h2〉
ここでは、転職理由を事前に考えるときポイントや注意点をご紹介します。
〈h3〉転職理由はしっかりと準備しよう〈/h3〉
転職理由の準備は事前にしっかりとしておきましょう。事前に準備しておく理由は、面接で転職理由を聞かれたとき、一貫した回答ができるようにしておくためです。
また、転職理由は1つではなく、いくつか準備しておくことをおすすめします。
これは、いくつか準備した転職理由の中から、「貴社(応募企業)だからこそ転職したいのだ」という部分を伝え、面接官に「なるほどこの人はよく考えて弊社を選択してくれた」という好印象を与えるためです。
〈h3〉必ず自身のキャリアプランに沿って考えよう〈/h3〉
転職理由を考える際には、志望動機と転職理由を結びつけることを意識しましょう。
なぜなら、将来の自身のキャリアプランに沿った転職であることを面接官に印象づけられれば、「この人は自身の将来を見据えて弊社を選択しているのだから、きっと定着してくれるはずだ」とアピールできるからです。
採用担当者は、面接で転職理由を質問して、「求めている人材と合致するか」「すぐに辞めてしまわないか」という点を探っています。「定着する人材である」ことのアピールは転職を成功させるためにはとても重要なのです。
〈h3〉採用者の目線で考えよう〈/h3〉
転職理由を考える上でのポイントは、採用者目線で考えるということが大切です。
なぜなら、経理の仕事内容・経験・スキル・ポジション・人柄など応募企業がどのような人材を求めているのかを把握しないで転職理由を考えてしまうと、採用者から見たら的外れな理由になってしまうことがあるからです。
転職理由や志望動機を考える際には、応募企業のホームページや求人票をよく読み、採用条件や募集人材の人物像の確認、応募企業の研究などを行いましょう。
また、自分なりの転職理由を考えた後には、必ず「自身が採用者ならどのように感じるか」という客観的な目線でチェックすることが必要になってきます。
〈h2〉転職理由はポジティブに伝えることが大切!転職エージェントに相談しよう〈/h2〉
経理の面接で転職理由を聞かれた際には、面接官にマイナスなイメージを持たれないよう、ポジティブに伝えることが大切です。
しかし、自分一人で転職理由を考えたり、面接でうまく伝えられるか不安だったりする方もいらっしゃると思います。
そのような場合には、経理専門の転職エージェントに相談してみましょう。経理の転職に精通した専門の転職エージェントから、面接シミュレーションをしてもらい、応募企業に合わせた転職理由の伝え方を教えてもらうことが可能です。
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